多焦点眼内レンズとは

眼内レンズとは、主に白内障治療に用いられ、白濁した水晶体を取り除いた後に水晶体の代わりに用いられるレンズです。
従来、眼内レンズは遠くか近くのどちらかだけにしか焦点を合わせることができませんでした。(単焦点眼内レンズ)
一方、多焦点眼内レンズは従来の眼内レンズと違い、遠くにも近くにも焦点を合わせることができる”大変画期的なレンズ”です。
簡単に言えば、眼内に埋め込むことができる遠近両用メガネです。

単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの比較

次の2枚の写真は、単焦点眼内レンズまたは多焦点眼内レンズを用いて、白内障の手術を終えたあとの見え方の違いをイメージしたものです。

▼単焦点眼内レンズの場合

遠方にピントが合う単焦点眼内レンズの場合は、遠方ははっきりと見えますが手元はピントが合いにくく、ぼやけて見えてしまいます。
この場合、老眼鏡を用いて手元を見る必要があります。
近くにピントが合う単焦点眼内レンズを用いた場合はこれとは逆に手元にピントが合いますが、遠くのものがはっきりと見えません。

▼多焦点眼内レンズの場合

多焦点眼内レンズの場合は、遠くにも近くにもピントを合わせることができるため、メガネも老眼鏡も必要なくなる場合が多いです。
多焦点眼内レンズを用いることで、術後より快適な日常生活を手に入れることが可能です。
※すべてのケースでメガネも老眼鏡も不要になるわけではありません。

多焦点眼内レンズについてご不明な点がございましたら、ご遠慮なく院長・スタッフにお尋ね下さい。

多焦点眼内レンズの種類について

テク二スマルチ
日本国内で最も普及している多焦点眼内レンズです。2焦点回折型構造。
暗所でも手元が比較的見えやすいですが、夜間運転時などに光が眩しく見えるハローグレア現象があります。

テク二スシンフォニー

テクニスマルチの新シリーズとして開発されたエシェレット回折型構造の多焦点眼内レンズです。
遠方から中間がより自然な見え方に。
テク二スマルチに比べてコントラスト感度の低下が少なく、ハローグレアも少し抑えられています。
ただし、近方の見え方は少々劣るため、読書などは老眼鏡の使用が推奨されます。

テク二スシンフォニー(トーリック)
テクニスシンフォニーの乱視適用タイプです。

テク二スシナジー

2020年冬に日本で認可されたばかりの高機能多焦点レンズ。遠近二焦点とEDOF(焦点深度拡張)を組み合わせることによって、遠くから近くまで自然な見え方を実現。近方視も良好です。

テク二スシナジー(トーリック)
テク二スシナジーの乱視適用タイプです。

パンオプティクス

2019年に日本で認可された回折型構造の3焦点眼内レンズ。高い光利用率を有し、瞳孔径への依存を低減する独自の光学テクノロジーを有することで遠方視を犠牲にすることなく、中間、近方の3つの焦点で良好な裸眼視力を提供いたします。

パンオプティクス(トーリック)
パンオプティクスの乱視適用タイプです。

FINE VISION

“遠方と近方”、”遠方と中間”の2種類の二重焦点レンズを組み合わせた二重構造の三重焦点眼内レンズです。
従来の二重焦点眼内レンズではピントが合いにくかった中間も見えやすくなっております。
コントラスト感度も良好、ハローグレアも抑え目となっております。

FINE VISION EDOF

FINE VISIONのEDOF。EDOFはExpanded Depth of Fieldの略で、焦点を結ぶ距離が広いという特性があります。
これによりハローグレアが軽減され、夜間も自然な見え方になります。

ミニウェル・レディー

球面収差を利用して遠方から近方まで自然な見え方を実現した全く新しいタイプの三重焦点眼内レンズです。
ハローグレアもほぼなく、夜間運転や暗所作業にも適しています。

Intensity

独自のDLUテクノロジーを利用した光学設計五焦点眼内レンズです。
イスラエルのHanita社が開発し、2020年から日本でも取り扱いが開始されました。
光効率を最大化し、あらゆる場面において常にベストな光配分を実現します。