糖尿病性網膜症とは

眼の一番奥、眼底には網膜という神経の膜があり、多くの毛細血管があります。
糖尿病患者の方の血液は、糖が多く固まりやすい状態になっているため、
網膜の毛細血管を詰まらせたり、血管の壁に負担をかけて、眼底出血をしたりします。
そのため、血液の流れが悪くなり、網膜に酸素や栄養素が不足し、視力低下が起こるものです。
進行した場合には、硝子体で大出血が起こり、失明に至る場合もあります。

糖尿病性網膜症と失明について

糖尿病性網膜症にかかると失明するという印象をお持ちの方が多いかもしれませんが、
糖尿病性網膜症になったからといって、すぐに失明するわけではありません。
糖尿病性網膜症は、網膜の状態などから進行の段階が3つに分けられます。
単純網膜症から増殖前網膜症の段階ではほとんど自覚症状がないため、初期の段階で患者様自身が眼の異常に気がつくことは困難です。
このため、眼科で定期的な検査を受けることが大切です。

[糖尿病性網膜症の進行段階]

糖尿病性網膜症の治療

糖尿病性網膜症の治療は以下のような方法があります。

血糖コントロール
単純網膜症では、血糖コントロールによって、眼底出血が改善することもあります。
また、他の治療の効果を十分なものにするためにも、血糖コントロールが不可欠です。

レーザー光凝固術
レーザー光凝固術は、網膜にレーザーを照射して、新生血管の発生を防ぐ方法です。
また、出血や白斑も治療できます。 この治療で視力が回復するわけではありませんが、網膜症の進行を阻止することができています。

・外来通院で治療可能です。
・点眼麻酔をして、1回15~30分程度の治療で終了します。
・進行の段階によって数回にわけて治療します。

硝子体手術
新生血管が破れて硝子体に出血を起こす硝子体出血や、網膜が眼底から剥がれる網膜はく離が起きた場合には、硝子体手術が必要となります。

眼圧内の圧力を保つために灌流液を注ぎながら吸引カッターで硝子体内の出血を吸い取ったり、はがれた網膜を元にもどしたりします。
眼内は暗いので、照明ファイバーで照らしながら手術します。

糖尿病と診断された場合

糖尿病と診断されたら、必ず眼科で検査を受けてください。
自覚症状では眼の状態はわかりません。
眼科では血管の状態を詳しくみるための精密眼底検査を行っています。

[精密眼底検査の目安]

状態 検査の頻度
網膜症のない糖尿病患者さん 6ヶ月~1年に1回
単純網膜症 3~6ヶ月に1回
増殖前網膜症 1~2ヶ月に1回
増殖網膜症 1ヶ月1回
硝子体出血のある増殖網膜症 2週間に1回

白内障や緑内障など、ほかの眼の病気がある患者さんは、医師と相談して検査の頻度を決めましょう。